トランス脂肪酸の体への影響

トランス脂肪酸は主に工業的な食品製造過程で生じ、一部は牛や羊など反動物の肉や乳製品に自然発生します。
心血管疾患のリスクを増加させる可能性が科学的に示されており、これは次のようなメカニズムによるものと考えられています

★悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の増加
トランス脂肪酸は悪玉コレステロールのレベルを上昇させ、これにより動脈硬化のリスクが高まります。これは、コレステロールが動脈の壁に堆積し、プラーク(硬くて厚い沈着物)を形成するからです。

★善玉コレステロール(HDLコレステロール)の減少
トランス脂肪酸は善玉コレステロールのレベルを下げる可能性があります。善玉コレステロールは、余分なコレステロールを体の他の部位から肝臓に戻す役割を果たし、これによりコレステロールの過剰な蓄積を防ぎます。この働きが弱まると、動脈硬化のリスクが高まることにつながります。

★炎症の増加

研究によれば、トランス脂肪酸は体内の炎症マーカーを上昇させる可能性があるとされています。
炎症は心臓病や他の慢性疾患の発症に関与しています。

★インスリン抵抗性の増加
一部の研究では、トランス脂肪酸の摂取がインスリン抵抗性(体の細胞がインスリンの働きに反応しなくなる状態)を増加させ、これが2型糖尿病のリスクを高める可能性が指摘されています。
これらの理由から、多くの国や地域ではトランス脂肪酸の使用が制限されています。

トランス脂肪酸はどんなものに使われていますか?

5つの避けたい食品

成分表示を確かめてから買ってください

 ①マーガリン
 ②ショートニング
 ③植物油脂
 ④ファットスプレット
 ⑤食用調合油

上記の食品に対してあまりストイックにならず好品程度が良いと思います

★トランス脂肪酸と糖尿病の関係
トランス脂肪酸は糖尿病、特に2型糖尿病と関連しています。
トランス脂肪酸の摂取は体内のインスリン感受性を低下させ、インスリン抵抗性を引き起こす可能性があります。
 インスリンは血糖を管理するための重要なホルモンであり、インスリン抵抗性は体の細胞がインスリンの働きに反応しなくなる状態を指します。この結果、血糖が適切に調節されず、時間とともに2型糖尿病を引き起こす可能性があります。
 複数の疫学研究で、食事に含まれるトランス脂肪酸の摂取量が多いと、2型糖尿病の発症リスクが高まることが示されています。
この関連性は、トランス脂肪酸がインスリンの働きを阻書し、血糖調節を損なう可能性があることから説明されます。
 トランス脂肪酸は体重増加や肥満のリスクも高めるとされており、これらの状態もまた2型糖尿病のリスクを増加させます。
 しかし、これらの研究は観察的なものであり、トランス脂肪酸が直接2型糖尿病を引き起こす原因となるかどうかを示すものではありません。
 それらは単に関連性を示すものであり、他の要素(遺伝的な要素、ライフスタイルの選択、他の食事のパターンなど)が影響を及ぼしている可能性もあります。それにもかかわらず、トランス脂肪酸の摂取は一般的に健康に有害であると認識されており、可能な限り避けることが推奨されています。

★トランス脂肪酸の各国の規制

トランス脂肪酸は、心臓病などの健康リスクを高めることが知られているため、世界保健機関(WHO)などは、トランス脂肪酸の摂取を減らすよう推奨しています。
また、一部の国や地域では、食品製造業者に対するトランス脂肪酸の使用規制を設けています。
例えば、デンマークは2003年に世界で初めてトランス脂肪酸の使用を規制しました。
そして2015年には、アメリカの食品医薬品局(FDA)はトランス脂肪酸を「一般に安全と認められていない
(GRAS: Generally Recognized as Safe)とし、食品製造業者に対するトランス脂肪酸の使用を段階的に禁止しました。
日本においては、規制・表示義務などは一切ありません。
以上のように、トランス脂肪酸を含む食品の摂取を減らし、健康的な食生活を心がけることが重要です。
加工食品を買うときは成分表をよく見て理解してから買いましょう