活性酸素と生活習慣病

生活習慣病とは、主に日常の生活習慣や行動の選択に関連する疾患のことを指します。糖尿病、高血圧、心血管疾患、脂質異常症などがこれに該当します。活性酸素と生活習慣病の関連性は、奥深いです。

活性酸素って何?
活性酸素が増えると体によくない…最近そんな話をよく耳にしませんか。肌のしみやしわといった老化現象から、動脈硬化やがんなど多くの生活習慣病の原因として、活性酸素がクローズアップされています。
活性酸素とは、「ほかの物質を酸化させる力が非常に強い酸素」のことです。私たちは呼吸によって大量の酸素を体内に取り入れていますが、そのうちの約2%が活性酸素になるといわれています。
活性酸素は殺菌力が強く、体内では細菌やウイルスを撃退する役目をしています。ところが活性酸素が増えすぎると、正常な細胞や遺伝子をも攻撃(酸化)してしまうのです。

🔳活性酸素の生成
 ・体内の正常な代謝や外部のストレス
 ・タバコ
 ・不健康な食生活
 ・過度なアルコール摂取
 ・煙霧や放射線
などから、反応性の高い活性酸素が生成されることが知られています。

🔳酸化的ストレス

 活性酸素が過剰に生成されたり、体の抗酸化防御メカニズムが不十分であったりすると、細胞や組織への酸化的損傷が進行することが考えられます。この状態を「酸化的ストレス」と呼びます。

🔳生活習慣病との関連

酸化的ストレスは、
 ・LDLコレステロールの酸化
 ・血管の内皮機能の障害
 ・インスリン抵抗性の増加
など
生活習慣病の発症や進行に関与するメカニズムと関連しています。
活性酸素は、
 ・DNA損傷
 ・タンパク質変性
 ・脂質酸化などの

セルラーダメージを引き起こすことで、慢性疾患のリスクを高めると考えられています。


;予防と対策

抗酸化物質を多く含む食品(果物、野菜、ナッツ、種子、緑茶など)の摂取、禁煙、適度な運動、ストレス管理などは、酸化的ストレスを減少させることに寄与し、生活習慣病の予防や進行の遅延に役立つと考えられています。

要するに、活性酸素は生活習慣病の発症や進行に関与する可能性があるとされており、これを中和または減少させることで健康を維持・促進する取り組みが重要とされています。

<活性酸素を減らすための生活習慣>


●タバコを控える

タバコの煙には活性酸素や、その発生を助長する有害物質が数多く含まれています。血液中に入ると、動脈硬化の原因となる酸化LDLをつくる原因ともなります。

●アルコールをとり過ぎない

肝臓がアルコールを分解するときにも、活性酸素が発生します。飲む量の多い人、アルコールに弱い人は、とくに注意が必要です。


●軽めの運動をする

激しい運動をすると呼吸量が急増し、活性酸素の発生を促します。反対にウォーキングや水中歩行程度の軽めの運動は、抗酸化酵素の働きを高め、体の酸化を抑えます。

●ストレスをためない

ストレスを受けると一時的に血液の流れが悪くなり、これが元に戻るときに活性酸素が発生します。これを繰り返すことで、酸化が促進されます。

●紫外線をさける

紫外線に当たると、皮膚細胞でも活性酸素が生成され、シミやシワの原因となります。男性でも外出時は帽子をかぶる、日光に長時間当たらないなどの紫外線対策が必要です。

食べ物には、活性酸素の働きを抑えるさまざまな抗酸化成分が含まれています。たとえばキウイやイチゴ、トマトなどに多く含まれるビタミンCや、ナッツ類、大豆などに多いビタミンEを、「若返りビタミン」ともいいます。ビタミンCやEには、細胞の酸化(老化)を防ぐ働きがあるからです。
抗酸化成分には、ほかにも次のようなものがあります。
赤ワインやブルーベリー、リンゴ、ココアなどのポリフェノール、

緑茶のカテキン、ピーマンやニンジン、カボチャなど緑黄色野菜のβカロチン、

トマトやスイカなどのリコペン、

豆類やタマネギ、シソ、緑茶などのフラボノイド、ゴマのセサミノール、

ニンニクやキャベツなどの含硫化合物、

エビやカニの色素アスタキサンチンなど。


抗酸化成分には面白いことに、3大栄養素(たんぱく質・脂肪・炭水化物)以外の微量栄養素や色素が多いのです。私たちは食事のメニューとして、肉や魚などのメイン料理ばかり考えがちですが、実は添え物の野菜、香辛料、調味料、デザート、飲み物なども、酸化の抑制に大きな役割をになっているのです。

また抗酸化成分は、色の濃い植物性食品に多いという特徴もあります。
ただ抗酸化成分は、どれか一つを食べれば済むというものではありません。

「○○が体にいい」と聞くと、それだけを集中的に食べる人がいますが、そうした方法には限界があります。
野球にたとえれば、活性酸素は打者、抗酸化成分は守備陣です。守備陣にイチローのようなスーパースターがいても、すべての打球を追ってグラウンド全体を一人で守ることはできません。それと同じで、どんなに強力な抗酸化成分でも、それぞれの能力(性質や作用の仕方)に違いがあるため、力を合わせないと活性酸素には対抗できません。


抗酸化成分を含む食品を数多く知っておき、毎日の食事のなかでできるだけ多くの種類をとること…それが抗酸化食生活のポイントなのです。

活性酸素を抑制する植物たち