活性酸素による疾患

活性酸素は、体内の正常な代謝プロセスや外部的なストレス源から生じる反応性の高い分子群です。活性酸素が増える原因には紫外線や放射線、大気汚染、たばこやアルコール、薬剤の摂取、過度の運動や強いストレスなどが挙げられます。 また酸化されやすい脂肪を多く含むスナック菓子や、揚げてあるインスタントラーメンのような加工食品も活性酸素を増やす原因になります活性酸素が過剰になると、細胞や組織に損傷を与えることがあり、これがさまざまな疾患の原因や進行に関与することが知られています。

◉活性酸素による疾患の例

;心血管疾患

活性酸素はLDL(低密度リポタンパク質)の酸化を引き起こし、これが動脈硬化の進行に関与するとされています。

;神経変性疾患

アルツハイマー病パーキンソン病などの神経変性疾患の発症や進行に、活性酸素が関与する可能性が考えられています。

図1 不良ミトコンドリアの蓄積を原因とするパーキンソン病とUSP30との関係
健常なミトコンドリアでは、USP30が余分なユビキチン鎖を切断することでミトコンドリアが過剰に分解されないように調節しているが、ストレスによって傷ついた不良ミトコンドリアでは、USP30が切断できる能力を超えたユビキチン鎖が付加される。さらに、付加されたユビキチン鎖を目印としてオートファジーによる不良ミトコンドリアの分解が起きることで不良ミトコンドリアが細胞内に蓄積して神経細胞が破壊され、パーキンソン病の発症につながる。

;癌

DNAへの損傷や遺伝子の変異は、がんの発症の要因となることが知られており、これらの変異の一部は活性酸素によるものとされています。

;糖尿病

活性酸素はインスリン抵抗性の原因の一つとされており、これが2型糖尿病の発症に関与している可能性があります。

すい臓の機能に影響を与えてしまう要因として、「活性酸素」の存在が挙げられます。
実はインスリンを生むすい臓のβ細胞は「活性酸素」にとても弱い組織です。

体内で発生した「活性酸素」がすい臓のβ細胞を傷つけてしまうと、血糖値を下げる「インスリン」の分泌量が低下し、不足します。

さらに本来、ブドウ糖を取り入れエネルギーに変える細胞内のミトコンドリアが「活性酸素」により傷ついたり壊れたりすると、血中のブドウ糖を取り込む働きも低下してしまいます。これが「インスリン抵抗性」です「活性酸素」がβ細胞やミトコンドリアを傷つけることで糖尿病が始まるといってもよいのです。

;加齢と老化はちがう

「加齢」と「老化」はちがう!?
「年を取れば、誰でも老化する」そんなふうに「加齢」と「老化」をイコールで考えてはいませんか? 
しかし、この二つは別々のものなのです。
「加齢」は誕生から、どれだけの時間が経ったかを示すものです。同じ年の同じ日に生まれた二人は、40年後、共に40歳になっています。
一方、「老化」とは、大人になって以降、加齢に伴い、カラダの機能が衰えていくことです。
「加齢に伴って老化するのだから、加齢も老化も結果は同じ」と思いますか? しかし同期の人や、同窓会で久しぶりに会う同級生を見ても、「老けたな」と思う人もいれば、「若々しいな」と感じる人もいます。
つまり、加齢は平等ですが、老化には個人差があるのです。持って生まれたものも多少はありますが、双子のように遺伝要因が同じ二人でも、その後の生活習慣や環境によって、老化に大きな差が出ます。それはいったい、なぜなのでしょう? 老化の原因にその謎が隠れています。活性酸素は、細胞の老化や組織の機能低下に関与するとされています。

;炎症

活性酸素は、炎症の起こるさまざまな病態に関与するとされており、リウマチや慢性炎症性腸疾患などの疾患に関連しています。細胞内には炎症を稼働させるシステムがあります。 このシステムが稼働すると炎症が起こるのですが、この引き金を引く要因の一つが大量の活性酸素なのです。 炎症が起こると、「炎症性サイトカイン」と呼ばれる物質や痛み物質が産生されます。

炎症性サイトカインとは・・・
免疫に関与し、細菌やウイルスが体に侵入した際に、それらを撃退して体を守る重要な働きをする。 血管内皮、マクロファージ、リンパ球などさまざまな細胞から産生され、疼痛や腫脹、発熱など、全身性あるいは局所的な炎症反応の原因となる。

体は、これらの活性酸素から細胞を守るための

抗酸化システムを持っています。これには、

抗酸化酵素

・スーパーオキシドディスムターゼ (SOD)

・カタラーゼ (Catalase)

・グルタチオンペルオキシダーゼ (GPx)

・グルタチオンレダクターゼ (GR)

・ペルオキシレダクシン (Prx)

(これらは体内にある物質ですが年齢とともに減少していきます)

下図は、SOD酵素の減少図です

       ↓↓↓

しかし、抗酸化システムと活性酸素のバランスが崩れると、上記のような老化及び疾患のリスクが高まることが知られています。

抗酸化物質

(体内には、ほぼ存在しないため食べ物または、サプリメントから摂取しましょう)

・ビタミンE

・ビタミンC

・セレン

・βカロテン

・フラボノイド

・リコピン

・ルテインとゼアキサンチン

・ポリフェノール

ファイトケミカルスなどが含まれます。