脳‐腸‐微生物相関とは
脳と腸は、常に情報を交換し合い、互いに影響を及ぼし合う関係にあります。この関係を「脳腸相関」といいますが、近年、脳腸相関に腸にすみつく腸内細菌が関与していることが分かってきました。そして、現在では、脳腸相関という概念は「脳-腸-微生物相関」という新しい概念に進化してきています。
脳腸相関における腸内細菌の関わりが世界で注目されるきっかけになったのは、腸内細菌を持たない無菌マウスを使った基礎研究の報告でした。
この研究で、無菌マウスは腸内細菌を持つ通常マウスに比べ、ストレスに対して過敏であること、脳の神経系を成長させるための因子が少ないことなどが分かりました。その後、無菌マウスに通常の腸内細菌を移植すると多動や不安行動が正常化するという報告もされています。
つまり、腸内細菌はストレスの感じ方や脳の神経系の発達・成長、そして行動に関わる存在であることが示されたのです。
脳腸相関をより深く理解するためには、今や腸内細菌は無視できない存在と言えます。